作文・小論文 出題テーマを見てみよう!

2023/09/28

Ⅰ,はじめに

先日、東京都教育委員会が
都立高校入学選抜
(2023年度)における、
推薦選抜の
小論文・作文テーマを発表しました。

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/ability_test/theme/

小論文のテーマは大きくふたつに分かれます。

「どのような高校生になりたいか」など

自分自身について問われるものと、
社会・時事テーマについて問われるものです。


前者については他の都道府県でも
目にすることのできる定型的な問いである反面、
後者は高校の立地を反映した
特徴のある問いとなっています。


ここでは
社会・時事トピックのテーマを参照しつつ、
求められる小論文・作文対策を
考えてみたいと思います。

Ⅱ,各校の出題テーマ・問題は?

◆日比谷高校
『ある鉄道会社の路線のなかで、
赤字額が大きい区間について、
赤字が続く理由を、資料から読み解く』


20227月、
JR東日本がローカル路線の収支を
始めて公表しました。

教室のある京都では
嵯峨野線(山陰線)などで、
鉄道路線の収支とサービスのバランスが
議論の対象となっていますが、
都会校に通う生徒さんにとっては
赤字路線のイメージがそもそもつきにくいかもしれません。


鉄道会社や路線毎の事情を加味しつつ、
今日的かつ全国的なテーマからの出題となりました。


◆戸山高校
『資料を使って、
東京都の人口増加率及び人口構成の特徴を、
秋田県および全国と比較しながら説明する』


人口減少率が最も高い秋田県と、
一極集中の進む東京都では、

高齢化率に大きな開きがあります。


また、
人口増加率という観点から見ますと、
新型コロナウイルス禍によるテレワーク等の影響で

2021年都内の人口増加率は
26年振りにマイナスを記録しました。

高齢化人口増加率の関係という
将来を左右する大きな社会テーマからの
出題となっています。


◆新宿高校
『近年の日本を取り巻く電力供給体制、
エネルギーおよび環境の近況に関する
7点の資料から、
2050年の
「日本における発電電力量に占める各電源の割合」と
その根拠を述べる』


福島第一原発の事故以来、各教育機関の入学試験において、
将来の電源構成を問う問題は度々出題されています。


中学校の授業でも少なからず触れられるテーマでもあり、
答案内容の充実が求められる問いとなっています。


◆三田高校
『高齢者の自動車運転操作ミスによる
事故の増加をうけて、
都道府県別「
75歳以上の免許返納率」と
「一人当りの自動車保有台数」の二つのグラフから
読み取れることをまとめる』


2019年に発生した痛ましい交通事故をきっかけに
高齢者の方々の
運転免許の自主返納が急増しました。


しかしながら、翌年以降は減少に転じており、
社会的関心が
やや薄れつつあるなかでの出題となりました。


Ⅲ,出題の傾向と予想

出題傾向には下記のような特徴がありました。

日々の暮らしに直結したテーマが多い。
・直前もしくは数年前までのトピックが多い。
資料の分析が求められる。

複数年に渡る幅広いテーマから出題されており、
出題予想は難しくなっています。


とはいえ、日々目や耳にするニュースのなかには、
出題テーマになるかも」と
思わせるものも少なくありません。


例えば、最近話題となった

「宇都宮市で75年振りに
路面電車
LRT(ライトレール)新設」

というニュース。

LRT新設の背景にある人口減少少子高齢化
他の多くの都市が抱える全国的な課題です。


また、江東区や葛飾区などでも
LRT計画が進行しており、
都民の方々にとりましても

ホットな話題と言えなくもありません。


地域ニュースでありながら、
多くの人々の暮らしと未来に関わる、

出題テーマとなっても違和感のないトピックです。


Ⅳ,小論文・作文対策はどうすれば?

日々のニュースを聞き流すのではなく、
「このニュース、出題テーマになるかも」という

当事者意識を持つことが何よりも効果的です。


社会・時事問題の背景を
自ら勉強することにも繋がりますし、
例えそこから出題されなかったとしても、
自身の知見は確実に広がります。

また、
いずれの高校も資料から判断するよう求めており、

出題者側が意図する作文の解
(方向性)
あるものと想像されます。


小論文の問題に多く触れ、
出題者が想定する方向性にまとめる事前トレーニング

適切な対策だと言えるでしょう。

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